Patch Stage vol.11「JOURNEY-浪花忍法帖-」感想

劇団Patch、初の東京公演、本当に本当にお疲れ様でした!

いつもはこんな風に感想を書いたりすることもないのですが、彼らの節目の公演として、自分用にも残しておきたいし、もっと彼らのことを知ってほしいなと思ったので筆をとりました。思うままにばばっと書いているので読みづらいかと思いますがひとりひとりに対する感想も書いてみました。

 

あらすじ

浪花と阿須真という二大強国が支配する架空の戦国時代が舞台。

浪花の傲慢忍者・恵比三が、城主・釈天の命を受け、布丁という僧侶と共に阿須真へ向かうことになります。恵比三に復讐心を燃やす忍・弁才や弟弟子である禄郎、達磨という少年と道中を共にすることになり、敵襲をかいくぐりながら阿須真を目指す、痛快アクションコメディ活劇、って感じの話です。

 

それぞれのキャラ付けもしっかりしていて、ストーリーや世界観も明快で分かりやすく、殺陣も盛りだくさんで、劇団Patchを知らない方やオリジナル舞台に慣れてない方でも比較的スッと入りこめて楽しめる舞台だったのではないかなと個人的には思います。役者のパーソナリティが出やすい配役だし、彼らの愛らしさやパワー、輝きを余すところなく楽しめる、まさに「これが劇団Patchです!」という看板にふさわしい作品だと思いました。

 

役について

今回は主役の恵比三とその恵比三の命を狙う忍び・弁才、恵比三と共に阿須真を目指す僧侶・布丁と阿須真最強の忍・毘沙丸がそれぞれWキャストで虹ver・霧verの2パターン公演でした。Wキャストはそれぞれ虹→霧の順で感想書いてます。

 
恵比三

<納谷くんver>

納谷くんのポテンシャルと人気はすごいですね本当に……。あの小さな身体からあふれ出るパワーがすごかった。あとやっぱり大きな舞台で場数を踏んでるだけあってお芝居と殺陣がめちゃくちゃ上手い。流石としか言いようがない。

納谷くんの恵比三は文字通り傲慢で精神的な未熟さもあって、序盤はともすればイヤなヤツとも思われかねない感じでしたが、その分後半の精神的成長が如実に感じられるのがとても少年マンガ感があってすごく良かった。身体が小さいので本当に少年感がすごくて、未熟さも全て受け入れられてしまう。もう少しラストの「俺は最初からわらっとったぞ!」のセリフに説得力があればもっと良かったのだけど、それに有り余る演技力で最後の泣き笑いのシーンは毎回泣かされました。

禄郎や達磨との関係も、4期の仲の良さがにじみ出ててすごく可愛かった。禄郎とのゼロ距離感が微笑ましくて可愛いし、達磨へのちょっとお兄ちゃんぶってる感じも可愛くて、阿須真城で3人で戦うシーンはバブみがすごすぎてめまいがした。可愛い。あのシーンも3人一緒に!っていう横並び感かつ、恵比三のお兄ちゃん感があって、とても良かった。可愛かった。

 

<松井くんver>

もうあんたがぱっちのエースだよ!!!!!!!!!
有無を言わせない太陽性と主人公性をこれでもかと見せつけられました。赤色の傲慢ヒーローというと、白浪クインテットを彷彿とさせますが、あの頃から垣間見せていた天性の華が完全に開いた感じ。スポットライトが当たっていなくても発光して見えた。

殺陣の身軽さやスピードは納谷くんがすごかったけど、松井くんの殺陣はその華と風のように客席まで襲ってくるほどほとばしる気迫がすごい。禄郎を失った時はマジで大角を殺しにかかってるとしか思えないほどの殺意でビリビリした。それまでのリミッターが完全に外れた感じがすごすぎて何に対してなのか分からないけど涙が出ました。

松井くんの恵比三は納谷くんに比べて人間が出来上がっていて、優しさも懐の広さも最初から持ち合わせてる感じがしました。大人の恵比三。最初の襲撃のシーンから笑顔だったのがすごくよかった。どうしても納谷くんと比較してしまうけど、その最初のシーンの笑顔が印象的だったから最後の「俺は最初からわらっとったぞ!」の説得力がすごかったです。

それに、松井くんが1期生というのもあって、東京公演で聴く「俺ひとりじゃなーんにも出来ん旅やった」や「ほな帰るで!浪花に!」のセリフの重みがすごい。恵比三のセリフなのに、彼自身に完全にシンクロして大千秋楽では泣くしかなかった……。
禄郎との先輩後輩感めちゃくちゃ良かったな~~。布丁にすら遠慮も容赦もない感じがまさに松井恵比三って感じで良かったです。

 
弁才

<松井くんver>

今世紀最大のセクシーーーー!って頭抱えた。

恵比三と比べると、まさに「セクシーなのキュートなのどっちが好きなの」って感じ。色気がすごい。肩マントってあんなにエロい衣装だったんだなって思いました。意味が分からないのが、恵比三の時と顔どころか体格も違って観えるとことです。すらっと細身でスマートに見える。動きもスマートで美しいし、まさにクールビューティといった感じの弁才。里でもめちゃくちゃ優秀なエリート忍者だったであろうプライドを感じさせるところもすごく良かったし、達磨や布丁に対してはすごく声が優しくなるところも好きだった。きっと本当は穏やかな人なんだろうな。最後までクールで穏やかだったのが良かった。会場で「顔が天才」って話してる人いたけど本当にその通りだった。

 

<納谷くんver>

ツンツンツンツンデレな弁才さん。クールぶってるけど松井弁才に比べると感情表現が激しくて、普通に怒るし普通に悲しそうにするし普通に短気。恵比三の足元をキャンキャン吠えて走り回ってる子犬みたいだった。可愛い。納谷くんは兎に角あのサイズ感がずるい。

すごいなと思ったのが、「下手な殺陣」がめちゃくちゃ上手かったこと。前半の殺陣はそりゃこれじゃ恵比三には敵わないわと思わせといてからの阿須真城で操られた時の強さのギャップがすごかった。スパッ!って足を高く上げるキックがつま先までキレイに伸びていて美しすぎて最高でした。ただ殺陣をやるだけじゃなくて「下手に見せる殺陣」まで出来るポテンシャル半端ないなって思いました。

千秋楽だったか、喧嘩のシーンで背伸びしてそのまま恵比三に持ち上げられて照れてたのすごい可愛かった。

 

毘沙丸

<三好くんver>

全然笑わない毘沙丸。星璃くんに比べて幾分か子供に見えました。その分、最後に恵比三と戦うシーンは、自分が信じてきたものが完全に崩れてしまってどうしようもなく途方に暮れて泣き喚く子供のようで辛かった。それを思うと、布丁を追う彼は知らないとはいえまさに自分の傍からいなくなってしまった父親を追いかける息子だったなぁ。彼の叫び声は悲壮感がすごくて胸に来ますね……。エピローグでも一切笑わなかったし、星璃毘沙丸とセリフ量は同じなのにすごく寡黙なイメージがあります。

納谷恵比三って三好毘沙丸が何考えてるか分からんってすぐキレそうだから兄弟喧嘩せずに仲良くしてくれたらいいなって思います。

三好くんは普段の会話でもお芝居でも「間」をとるのがすごく上手くて、大角や寿とのコミカルな会話でも絶妙の間で笑わせてくれるところがいい。最後のふざけた寿と大角追いかけまわすところめっちゃ好きだったな。

 

星璃くんver>

ザ・星璃!って感じ、星璃くんの専売特許って感じの役だと思いました。貫録がすごい。めちゃくちゃカッコよすぎてて初日見たときひっくり返りました。こっちの毘沙丸は聡明で懐も深そうなので、仲良しにはならずとも兄弟仲の修復は虹に比べて早そう。

寡黙な三好毘沙丸に比べて比較的表情豊かなので、劇中でも「ここでこんな表情してたんだな」って腹の内が垣間見えるところがあったのが好きだった。親子の精神的つながりが見えた三好毘沙丸に対して、星璃毘沙丸はもう少し大人というか、自分自身が信じてきたもののために布丁を追っているように見えました。あと、最後、恵比三に一方的に攻撃している時の顔が悲壮というか、傷つけた瞬間のハッとした苦しそうな表情が観ていて本当に苦しくて毎回泣かされてたな…。

あと殺陣が半端なく強そう。流石殺陣師だけあって、身のこなしひとつひとつがめちゃくちゃサマになってカッコいい。もう1段階上げたときのスピードがえぐすぎて怖いくらいだった。個人的には星璃毘沙丸と納谷恵比三の対決が観たかったな~~。

 

布丁

星璃くんver>

パパみがすごい。虹の千秋楽のカーテンコールで捌ける時の恵比三と毘沙丸を見る顔が完全に父性しか感じなくて、パ、パパ~~~~~~~~~~~~~!!!!って号泣した。なんであの歳であの貫録と父性が出せるんだ……すごい。恵比三と毘沙丸が戦ってる時も、2人を交互に見ている顔が本当にパパすぎて毎回泣けました。

1期3人の中では一番年下なのに、貫録がありすぎて本当にパパすぎた。好き。禄郎を失ったあとに恵比三に語りかけるところも、すごく慈愛に満ちていてすごい泣く。父性があまりに強すぎたせいで阿修羅になっちゃった感じの布丁。

カーテンコールでいつも星璃くんがしてくれるお話がすごく好きなんですけど、布丁さんの恰好してあの有難いお話を聞くと思わず手を合わせたくなる。

 

<三好くんver>

星璃くんよりも罪を背負っている後ろ暗さを感じる布丁。常に悲しみを背負っているように見えたし、息子2人の戦いを見てる時も辛くて観てられないって感じが星璃布丁よりも繊細さと心の弱さを感じたなぁ。毘沙丸抱いて逃げるシーン、必死すぎて毘沙丸の抱え方がずるずるになっちゃってたまにニトリのクッション抱えて帰ってる人みたいになってたのはちょっと面白かったです。お前の子供だよ!ちゃんと抱いてあげて!

あとアイアムエンマしぬほど笑ったからだめ。閻魔大王は間の上手さが存分に発揮されて笑い死ぬかと思った。

 

布丁さんって2人の赤子だけじゃなくて達磨までちゃんと育て上げてるスーパーお父さんですよね実は。達磨のくだりは東京公演でセリフカットされてたけど。父性通り越して母性が強い。

 

禄郎

この役、尾形くん以外に出来ます?絶対出来ない。尾形くんの人柄が禄郎って誰にでも愛される人間性のキャラクターを更に押し上げて、半端ない天使感。

いっつもニコニコしていてあのほわっとした笑顔見るとなんでも許せちゃう感じ。福禄寿がモチーフだから幸せの象徴であることを心掛けてたって本人も言ってたとおり、禄郎を見るだけで心が和んで幸せな気持ちになれるよね。あの笑顔の強さはもう天性のものだから大事にしてほしいなぁ。すごく可愛い。それに加えてふとした時に見せる真剣な顔とのギャップが良い。顔が綺麗だから真顔になったときめちゃくちゃ顔が最高。恵比三の意識の中のシーンめちゃくちゃ好きだったな…「よう我慢したね」ってセリフ最高じゃないですか?恵比三のことセンパイセンパイ呼んでおいてタメ口なのもすごく良い。

面白かったのが先にも書きましたけど、それぞれの恵比三との距離感。地下水道を抜けた後、納谷恵比三とはぎゅーって抱き合うのに、松井恵比三とは肩に触れあうだけなの顕著ですよね。納谷恵比三とは上下関係のある幼馴染って感じで、ぎゅって寄り添って仲良しなのが本当に可愛すぎて2人で並んで座ってるところが観たい。ジブリ感ある。松井恵比三はまさに先輩後輩って感じですよね。その上で恵比三がちゃんと禄郎を信じて頼りにしてるのがまためちゃくちゃ良い。こういうワンコ系後輩にめちゃくちゃ弱い。どっちの恵比三よりも背が高いのも最高だった。

 

達磨

これも亨ちゃんにしか出来ない役ですよね……。超絶顔が可愛いのに飄々として何を考えてるのか分からない感じ。味方と思ったら敵になったと思ったらやっぱり味方だった!ってめちゃくちゃおいしいし、おいしいだけあるビジュアルの良さ……。ずるいとしか言えない。あれ以上見続けてたら気が変になりそうだし、実際彼の魅力に落ちた人も多そう。

正体がバレたあとのガンガン強めのセリフが最高でした。竹にもたれて恵比三待ってるのとか最高すぎて気を失うかと思った。一番すきなのは「もちろん」と「それは言えない」かな~~~あのちょっと小首をかしげるのが最高すぎて初見の時ひっくり返った。ずるい。「バレてたか」ってちょっと笑った顔も、か、か、かわいい~~!!!!!家で見てたらその辺の床転がりまわってしまいそうなレベルで最高でした。本当に顔が可愛い。手足がひょろっとしてて顔と体型がどう見ても子どもなのも、達磨の強さや人間性とのギャップがあってめちゃくちゃよかったなぁ。

あんまり動けるイメージがなかったんですけど、恵比三と戦うときの居合がめっちゃ好きだったな。毎回ドキドキした。さらっとこなしているけどふとした瞬間に殺意が垣間見えるのがすごく良かった。殺陣に目覚めたらしいのでもっと極めてほしい。

 

達磨の「親を亡くした自分をここまで育てて忍にして下さったのは阿修羅様です」ってセリフ、何でカットしちゃったんでしょうね?達磨の忠誠心の強さが見られた上に布丁のスーパーお父さんぶりが分かってすごい良かったんだけどなぁ。

 

大角

私巨大武器が大好きなんですけど、もう大角の殺陣最高じゃなかったですか????!?!?

今回どっちも舞台が狭くて、あれだけ大きな武器を振り回すのも躊躇してしまいそうなのに、思いっきり振り回してたの本当にカッコよかった。巨大武器はこうでなくちゃ!!!刀とは違ったパワーのある動きも毎回どんどんキレが出てきて、毎回ワクワクしてました。あのモフモフついてんのも最高に可愛い。本当にあの武器大好き。殺陣って攻撃する側だけじゃなくて、受ける側も上手くないとカッコよく見えないと思ってるのですが、やっぱり恵比三の強さが際立つのも受ける大角の殺陣がしっかりしてたからだと私は思っています。

おちゃらけたキャラクターも可愛かった。毘沙丸に怒られてヒュウ~♪って口笛吹くの可愛すぎて毎回ニヤニヤしてしまった。弁才との日替わりは、納谷弁才だと割とぐいぐいくるのに、松井弁才だと逆に押されちゃうのもすごい可愛かった。仲良しやな…。

阿須真勢で一番戦ってると思うし、あれだけハードな殺陣に加えて、アンサンブルもたくさんこなしてて実は吉本くん一番大変ですよね?殺陣のことも含め、まさに縁の下の力持ちって感じで、1期とはまた違った形でこの公演をしっかり支えていた人だと思います。喉お大事にしてください。

 

寿

オカマじゃなくて女の子だから!普通に可愛かった。近くで見ると青ひげ濃くて笑ってしまったけどめっちゃメイク上手だった。本当に藤戸くんはこういう振り切った役を思いっきり演じてくれるから観ていて気持ちがいいです。

寿ちゃんってコミカルな役に見られがちだけど中々優秀な忍びですよね……部下が付くくらいだし。大角をたしなめたり真剣に仕事の話をするときの知的な雰囲気の寿ちゃんも好きでした。毘沙丸様とは完全に部下と上司の関係なんですか?関係だろうな。毘沙丸様って女嫌いな雰囲気あるけど寿ちゃんを右腕に置いてるのすごくいいですね。達磨に刀むけられて絶叫した時のアゴ肉の段差がめっちゃ可愛い。

恵比三の意識の中に入ってきたときの扇子で顎をクイってやる仕草がすごくエッチで好きだったな~~。もっとああいうカッコよくて可愛い寿ちゃんが観たかった。髪型ははかせたろうかもしれんけどすごく可愛くて聡明な女性だったと思います!

 

 

雑感

一人一人の感想はこんな感じです。本当に楽しかった!!

Patchはひとりひとりの土台やキャラクター性がしっかりしているので、こういう演目だと劇団や本人の魅力がすごく分かりやすく伝わってくると思います。先にも書いた通り、東京で「これが劇団Patchです!」って見せるにはこれ以上ないくらいぴったりな舞台でした。

役替わりも、1期からの不動のエース松井勇歩と今一番勢いのある新エース納谷健の二枚看板で、今までのPatchとこれからのPatchの両面を見せてもらえたのもすごく良かった。4期生の新しくて若くて勢いのある力も見られたし、1・2期生の意地と貫録のあるお芝居も最高だった。

同時に、東京公演でやる意義もすごく感じた公演でした。遠い浪花から始まった物語が、5年かけてようやくアズマにたどり着いて、自分たちの魅力と意地をこれでもかって見せてくれたあとにエース松井の「ほなかえるで!浪花に!」ってセリフで締めるジャー忍、絶対に今の彼ら以外では出来ない、やりようのない最高の舞台だったと私は思いました。

 

劇団Patchワタナベエンターテインメントという大手事務所所属ですが、若手で、大手事務所所属で、顔も可愛くて、お芝居も出来るからといって、何もせずにこの世界で成功できるわけじゃないことを教えてくれました。

この若手俳優が星の数ほど存在して、彼らが出演するような2.5舞台がたくさん打たれて流れも速い時代で、彼らがやっと東京でたくさんの人に望まれて公演が打てるまでの5年という歳月はとてもとても長かったと私は思います。でも、だからこそ彼らには絶対に揺るがない土台や力や絆があるし、それこそが絶対にどこにも真似できない劇団Patchの魅力だなと思います。

 

もしジャー忍をきっかけに劇団Patchに興味を持って頂いた方、是非過去の彼らも知って頂きたいです。彼らが大阪で頑張ってきた軌跡を知って頂くことで、きっとジャー忍の思い出はもっと素敵なものになると思います。

過去公演のDVDは全てではないけど、ネットで購入可能なものもありますし、Twitterの「#コレパチ」というハッシュタグで過去公演の思いで話をしていたり、過去公演の宣伝で使用していたアカウントも残っているので、お時間のある時に、彼らがアズマにたどり着くまでの旅路を知って頂けたら嬉しいです。

破壊ランナー (@hakairunner) | Twitter

 

そして、もしよかったら皆さん今度はPatchに会いに浪花まで来てね。また絶対アズマまで行きますので。